2015/04/28

自信と勇気持ち荷主と交渉

 

「今こそ選んでもらえる会社にするべき」。

優伸運輸(静岡県沼津市)社長の伊藤良男さんはこのように力を込める。

同社は2年前から改革をスタートさせた。改革の大きなテーマが「人材が集まるような環境を整備

する」ことだった。給与所得水準が低く、3Kと呼ばれて久しいトラック運送業界において、ここ

数年のうちに人材不足が問題になることは分かっていた。

 

そうした中で同社では人材を確保するために、まず、採算性の悪い仕事の仕訳を実行。それまで2

トンがメーンだった業態を大転換し、ほぼすべてを中型にシフトした。

「2トンは運賃に比べて車両価格が高い。採算が取れている部門で赤字を補てんすることはできて

いたが、それは不健全で本来の姿ではなかった」というのが理由だ。

荷主と交渉し、値上げに応じた仕事は継続したが決裂した場合は即撤退した。そのうえで、次に

行ったのが人材確保方針だ。同社では、「特殊な荷物は扱わない」、「荷主が指名しないような人

材」、「女性の登用」に注力した。「今は売り手市場なので、荷主に指名されるような能力ある人

材や、その人しかできない特殊な荷物は扱わない。

男女問わず誰にでもできるような仕事を荷主の協力を得ながら構築している。

それが人材難を解消する一つの手段だ」と断言する。現在、同社では女性ドライバーが6人いるが

今後さらに登用を進めていく方針だという。

 

「勇気をもって運賃だけでなく労働環境への協力を荷主に申し出るべき。長年付き合いのある荷主

運送会社を信頼しているからこそで、無碍に切ることはない」とし、それが健全経営につながる

と信じている。

 

2015.2.11