2014/12/07

和田康宏の「転ばぬ先の知恵」Vol.7

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

 

「大きなギャップ」

2014年に本格的にスタートする新しい行政処分基準の大きな特徴です。

行政処分は「初回違反」と「再違反」と分かれています。

言葉の通り、「初回違反」とは過去3年以内に行政処分を受けたことがない

場合の1回目の行政処分のことです。

一方、「再違反」は3年以内に行政処分を受けていて、2回目の行政処分のことをいいます。

それでは今回の行政処分基準はどのように改正されたのでしょうか?

実は、「初回」違反の場合には「警告」処分になるケースが増えました。

例えば、点呼の未実施違反について考えてみましょう。

新基準では点呼必要回数100回中、点呼ができなかった回数で行政処分が決定されます。

100回中、点呼未実施が19回以下なら「初回」は「警告」処分。

つまり車両停止などの行政処分はないため、経営上のダメージは実質ありません。

ところが、初回違反で味をしめて、その後点呼の実施を甘く見てみ実施回数が

50回以上になるとどうなるのでしょうか?

前回の警告処分から3年以内に同じ点呼未実施違反を指摘された場合、

再違反の「40日の車両停止」となります。

初回「ゼロ」だったことを考えると、再違反40日の車両停止処分はかなり

ギャップがあることが分かります。

更に、点呼未実施違反は「記録なし」違反にも該当します。

記録なし違反も、「一部」記録なし違反の場合、「初回」は「警告」処分です。

しかし、再違反になると「10日の車両停止」処分となります。

「点呼未実施」と「記録なし」の2つの違反。

初回は「警告」、再違反で最大「50日の車両停止」となるわけです。

「再違反」こそ、今回の行政処分で注意すべきキーワードなのです。

乗務時間等の告示基準についても同じです。

初回違反で5件の違反であれば「警告」処分。

しかし、3年以内に再違反をすると、最大で「40日の車両停止」処分になります。

初回違反で「警告」。

この「警告」処分を読者の皆さんはどのように捉えるでしょうか?

こんな程度の行政処分しかこなくなった、と考えるか?

それとも3年以内の再違反でのリスクを見据えた安全対策の強化をしようと考えるか?

すべては社長の安全に対する考え方次第ですね。

 

2014.2.26


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