2015/01/15

カタチあるものからないものへ

5月27日の総会で静岡県貨物運送協同組合の理事長に就任した内田泰正さん。

就任の感想を聞くと「杉山節雄前理事長はじめ歴代理事長がしっかりした組織基盤を

築いてこられたので特に肩に力は入っていない」と笑う。

同協同組合は叔父の内田貴(たかし)氏が設立した。当時は規模の小さい運送会社が

乱立していた時代で銀行からお金を借りることができない事業主も多かった。

信用がないので車両も直接ディーラーから買うことができず修理工場などに買ってもらい、

そこに手形を切って高い利息で購入していた。

そこで貴氏が立ち上がり協同組合をつくればこうした不便も解消されると昭和38年に

33社で同協同組合を設立したのだ。翌年には、車両ローンを開始。昭和44年には

協同組合として全国に先駆け別納割引制度の認可を受けた。さらに平成元年には

現在のウェブKITの原型となる輸送情報ネットワークシステム「シスネット」の運用を開始する

など着実に成長。

現在は組合員の静岡県全域の運送業者179社を擁する国内有数の組合となった。

「現在協同組合のスタンダードの事業はほとんど静貨協からスタートしている」とその先駆性を

自負している。

「叔父が設立に深くかかわった協同組合なので強い思いはある」と話す内田さん。

自身も昭和38年生まれの50歳で組合と同い年だ。

「モノの値段が上がるのは仕方がない。しかしそれに合わせて運賃も上がらなければ採算が

合わないがそうなってはいないのが現状。もはや独立独歩でやっていける時代ではないので

協同組合を活用して少しでもスケールメリットを提供していく」と話す。

ただ、モノの売り買いだけではどうしても限界があることから今後の協同組合の在り方に

ついても考えているという。

「これからはシステムや仕組みなどカタチのないもの、つまり経営相談であるとか商売の

拠り所となるようなサービスの提供ができるかどうかの検討をしていきたい」。

 

2014.6.11