2014/12/11

和田康宏の「転ばぬ先の知恵」Vol.11

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

 

ついに聖域に突入!

運行記録計の装着義務が拡大されます。

具体的には2015年4月以降の新車購入時からで、

車両総重量7トン以上〜8トン未満、最大積載量4〜5トンが義務づけの対象となります。

デジタルだけでなく、アナログタコグラフでも構わないことになりました。

中型トラックへのタコグラフの義務化は、トラック運送会社の安全管理、とりわけ

労働時間管理に大きな影響を与えることになりそうです。

今までブラックボックス(聖域?)となっていた4トントラックの長時間労働の実態。

これがタコグラフの義務化で浮き彫りになります。

曖昧にして逃げてきた拘束時間等の法令違反が白日の下に晒されます。

ご存知のように、労働法令違反が改善できないのは運送会社だけの問題ではありません。

荷主企業の理解と協力がなければ問題解決できないことが多いです。

中でも労働法令違反による罰則強化への理解と協力、ドライバー不足を解決するための

適正運賃への改善の協力をもらうことは本当に難しいです。

ただ、そうはいっても黙って指をくわえていても問題は解決しません。

ディーゼル車の排ガス規制の時もそうだったように、あらかじめ情報を収集していれば数年後に

どんな規制が始まり、何が大きな問題になるのかを予測することができます。

にもかかわらず、実際には排ガス規制が決まってから慌てる事業者が多かったように思います。

また、車庫飛ばしの違法行為をする事業者も出て、検挙される始末でした。

「窮すれば通ず」とはなかなかいかず、実際には「窮すれば濫す」が世の常。

今年1月から本格スタートの行政処分基準についてもしかり。

労働法令の違反が厳しくなれば、タコグラフを改ざんしたり、破棄したりする輩が出てくるかもしれません。

しかし、昔の行政処分基準とは違い、現在は「タコグラフの改ざん」に関する「虚偽の陳述」をした場合には

30日間の営業停止という大変厳しい内容となっています。

「悪質な労働法令違反」とタコグラフの改ざんに関する「虚偽の陳述」の両方の違反を指摘され場合には、

60日間の営業停止になります。

こうなれば万事休す。

完全に経営が行き詰まり、運送会社としては存続できなくなるでしょう。

今すぐ「労働法令違反の削減」を真剣に取組むしかありません。

荷主企業に対する協力要請(むなしいことが多いですが)や新たな荷主獲得による業務の変更など、

できることを試していくより方法はありません。

タコグラフの装着義務の拡大は、労働法令違反の発覚と背中合わせです。

すべては一気に解決できないですが、今から取組みを始めなければ、まさかの坂を転げ落ちてしまいます。

大変ですが、目をそらさずに、少しずつでも改善をしていきましょう。

 

2014.4.23


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